医療事務員のブログ

若手医療事務員が日々感じたことを書き残します。

身寄りのない患者が死亡した場合どうすればいい?医療事務として知っておくこと

 

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多種多様な患者の受け入れを行っていると、いろんなケースがあります。先日、身寄りのない患者さんが、危篤状態になり、死亡時の対応について考える必要がありました。

 

患者さんの状況

 透析で入院されている方でしたが、
先日、脳出血で急変、意識レベルが低下し、危篤状態。
家族は絶縁状態、連絡先も不明です。

年齢的には若い方で、病室でゲームをしたり、マンガを読んだりと至って元気な方でした。
なので、死亡時の対応についてはこれまで検討をされてこなかったようです。

 

銀行口座は病院が預かっている

 当院の職員が、入院費の支払いや、テレビカードの購入などを本人の銀行口座から引き出しています。もちろん本人の同意を得た上で、確認をしてもらっています。
入院費の支払いは問題なく行えていたのですが、

家や土地も持たれておらず、ご家族もいないので、患者さんが帰る場所は無いようです。
それではもし、死亡された時どうなるのでしょうか。

 

◆身寄りがない場合の葬儀の手配

 身寄りのない人が死亡した場合、原則として市町村が葬祭を執り行うことになります。
病院から市町村に連絡すれば、葬祭を行ってくれるということです。
葬祭費用は、死者の遺留金などの財産から支出することになります。

墓地・埋葬等に関する法律第9条1項
死体の埋葬又は火葬を行う者がいないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が、これを行なわなければならない。

戸籍法に基づく死亡届は、戸籍法第87条の同居の親族などの届出義務者がいないことが明らかですから、病院長が行う必要があるようです。

諸々の手続きについては、葬儀会社のほうが詳しいと思います。
市町村への葬祭の手配などは、葬儀会社が代行してくれる場合が多いです。
遺体の搬送から市町村との調整までしてくれますので、相談するといいですね。

 

死亡後の入院費の支払いはどうする

 身寄りが無ければ、代わりに支払ってもらえる人がいません。
じゃあどうすればいいのでしょう?

当月分の入院費、死後処置の代金や死亡診断書の代金などが発生していると思います。
身寄りのない方に関して、死亡した後では本人に請求できませんよね。


じゃあ、患者の遺産から取り立ててもいいんじゃない?
そうなってしまうと、これは相続の問題にも関わってきます。

 

死後の相続財産は市町村の管理になります

 相続人が相続するべきものですが、相続人がいないか、存否不明の場合には、いったん市町村長の管理になります。
遺産から勝手に治療費を取り立てることはできませんので、病院から市町村長に全額引渡すほかありません。

 

例えば当院のケースだと、通帳を預かっていますので預金の引き出しが可能です。
これを、患者の死後に引き出すと違法になります。
本人が死亡した時点で、預金は相続財産になります。
 最高裁判例では、勝手に相続財産を引き出した者は「他の相続者が受け取る財産を盗んだ」事になっていますね。つまり、窃盗事件です。

 

正式な流れはこうなります。

1.市町村長から検察庁に通知

2.検察官から家庭裁判所に「相続財産管理人選任の申立て」(民法952条)を行う。
3.相続財産管理人が選任されたら、遺産は管理人が管理となる。
4.病院から管理人に未払治療費の債権届出をする。
5.管理人から治療費の支払いがされる

 

治療費が支払われるまでこんなにも労力がかかってしまいます。

身寄りのない方の方針を決めておく

 

 入院費は高額になりがちなので、なんとしても回収したいですよね。
事前に死亡時の対応を話しておくのは難しいとは思いますが、
病院としてどのような対応をすればよいのか、マニュアルを作成する必要がありますね。